住宅ローンの計算をしてみる – 元金均等返済

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「住宅ローンの計算をしてみる」シリーズのパート3です。

この記事では、住宅ローンの返済方法である元金均等返済について、計算してみます。
※ 高校数学の数列の知識を使用します。

「元金均等返済」など、計算前の前提知識についてはこちらをご覧下さい。

住宅ローンの計算をしてみる - 前提知識の確認
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計算を始める前に

元利均等返済編と同様に各値を文字で置きます。

借入総額 … $X$
毎月の支払い時の残金 … $x$
毎月の支払い額 … $y$
毎月の支払い額の元本返済分 … $z$
毎月の支払い額の利子分 … $w$
毎月の利息(月利) … $α$
支払い回数 … $N$
住宅ローンの計算をしてみる - 元利均等返済
「住宅ローンの計算をしてみる」シリーズのパート2です。 この記事では、住宅ローンの返済方法である「元利均等返済」について、計算してみます。 ※ 高校数学の数列の知識を使用します。 元利均等返済など、計算前の前提知識についてはこ...

このとき、毎月の支払い時の 残金 $x$、支払い額 $y$、支払い額の利子分 $w$ は、それぞれ次のように表せたのでした。

$$x_n = x_{n-1} – z_{n-1} \tag{1}$$

$$y_n = z_n + w_n\tag{2}\,\,\,\,\,\,$$

$$w_n = α × x_n\tag{3}\,\,\,\,\,\,\,\,$$

元金均等返済の計算をする

元金均等返済は毎月の支払いのうち元金の額が一定となる返済方法でした。
この支払い方法について計算をしてみます。

毎月の支払い時の残金を求める

毎月の支払い時の残金の一般項 $x_n$ を求めてみます。

毎月の支払い額の元本返済分は一定なので、これを定数 $Z$ とすると、$(1)$より

\begin{align}
x_n = x_{n-1} – Z\tag{4}
\end{align}

ここで、初回支払い時の残金 $x_1$ は $X$ であったので、
$(4)$は初項 $X$、項差 $-Z$ の等差数列とわかります。
したがって

\begin{align}
x_n &= x_1 – (n – 1)Z\\[8pt]
&=X – (n – 1)Z
\end{align}

\begin{align}
x_n = X – (n – 1)Z
\end{align}

毎月の支払い時の残金を求めることができました。

毎月の支払い額

元金均等返済は元利均等返済と違い毎月の支払い額が一定ではありません。
次はこの毎月の支払い額の一般項 $y_n$ を求めてみます。

上の計算と同様に毎月の支払い額の元本返済分を定数 $Z$ とすると、$(2)$より

\begin{align}
y_n &= Z + w_n\tag{5}
\end{align}

$(3)$、$(5)$より

\begin{align}
y_n &= Z + αx_n\tag{6}
\end{align}

さらに$(6)$と上で求めた毎月の支払い時の残金の一般項 $x_n$ より

\begin{align}
y_n &= Z + α\left\{X – (n – 1)Z \right\}
\end{align}

毎月の支払い額を求めることができました。

利子の総額を計算する

次に利子を求めてみます。
これまでと同様に、毎月の支払い額の元本返済分を定数 $Z$ とすると、
$(3)$と毎月の支払い時の残金の一般項 $x_n$ より

\begin{align}
w_n &= α\left\{X – (n – 1)Z \right\}\\[8pt]
&= α(X + Z) – αZn\tag{7}
\end{align}

$(7)$は、$n$ 回目の支払い時の支払い額の利子分でした。
これを初回の支払い分から支払い回数 $N$ まで足し合わせれば、利子の総額を求めることができます。

\begin{align}
\sum_{k=1}^N w_k &= \sum_{k=1}^N \left\{ α(X + Z) – αZk \right\}\\[8pt]
&= α(X+Z)N -αZ\sum_{k=1}^N k\tag{8}\\[8pt]
\end{align}

ここで、$\sum\limits_{k=1}^N k$ は、初項 $1$、公差 $1$ の等差数列の$1$から$N$までの和であるので、

\begin{align}
\sum_{k=1}^N k = \frac{N(N+1)}{2}\tag{9}
\end{align}

$(8)$、$(9)$ より、

\begin{align}
\sum_{k=1}^N w_k &= -αZ・\frac{N(N+1)}{2} + α(X+Z)N\\
&= -\frac{1}{2}αZN^2 -\frac{1}{2}αZN + α(X+Z)N\\[10pt]
&= -\frac{1}{2}αZN^2 + \frac{1}{2}α(2X + Z)N\\[10pt]
&= \frac{1}{2}α\left\{-ZN^2 + (2X + Z)N\right\}
\end{align}

\begin{align}
\sum_{k=1}^N w_k &= \frac{1}{2}α\left\{-ZN^2 + (2X + Z)N\right\}\\
\end{align}

ローン完済までに支払う利子の総額を求めることができました。

毎月の支払いの元本返済分を計算する

支払い回数 $N$ が決まれば、毎月の支払いの元本返済分 $Z$ を計算することができます。
毎月の支払い時の残金($n$ 回目の支払い時の残金)は次のようになりました。

\begin{align}
x_n = X – (n – 1)Z
\end{align}

$N$ 回目で完済する場合、$N + 1$ 回目の残金は $0$ になります。

\begin{align}
x_{N+1} = X – (N + 1 – 1)Z = 0\\
\end{align}

これを $Z$ について解くと

\begin{align}
X – NZ &= 0 \\[8pt]
NZ &= X \\[8pt]
Z &= \frac{X}{N} \\[8pt]
\end{align}

\begin{align}
Z &= \frac{X}{N}
\end{align}

毎月の支払いの元本返済分を求めることができました。

おわりに

元金均等返済についていろいろ計算をしてみました。
何か誤っている点等あればご指摘いただけると幸いです。

次は「元利均等返済」「元金均等返済」でそれぞれ求めた式に具体的な値を入れてみようと思います。

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